2009年12月08日
パートナーとの試み――FASID
東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、日本の知識や経験を世界と共有し、途上国開発、貧困削減を進めることを使命としています。
提供サービスは、学習プログラムのコースデザインやマルチメデイア、多枝点接続ビデオ会議のコーデネーション、そして技術ハブとしての機能。2004年の開始以来、日本と途上国をつなぐ架け橋としての役割を果たしてきました。
その有力パートナー、2005年より当遠隔ビデオ会議をご利用いただいている財団法人国際開発高等教育機構(FASID)をご紹介します。
FASIDとは?
FASIDは1990年、経済団体連合会(当時)の協力のもとに設立された外務省・文部科学省両省共管の財団法人で、開発援助人材の育成を主な目的としています。2005年から現在までの間に遠隔会議方式を活用した「現地ODA タスクフォース(TF)セミナー」を38回に渡り実施しており、TDLCビデオ会議施設やコーデネーションを活用し、累計で335カ国と接続しています。
ODA タスクフォースセミナーとは?
現地ODA タスクフォース(TF)セミナーでは、参加各国のTFのニーズに応じたアジェンダ作りが必要なため、様々なテーマが取り上げられています。たとえば援助協調や新興国のドナーの援助支援、マルチ・バイ連携などの政策に関するものから気候変動や人間の安全保障、ガバナンス、ジェンダー、ミレニアム開発目標(MDG)など開発援助の重要テーマ、水、保健、産業振興等分野のセクター、案件形成や新要望調査等の開発オペレーションに関する分野まで網羅しています。
「本セミナーは現地ODAタスクフォースが、業務遂行に際して求められる更に高度で実践的な内容の研修を対話型方式により実施することにより、TFメンバーの能力強化に資することを目指しております」(FASID)ウエブサイトより
遠隔セッション参加者サイトについて
2005年8月の初回セッション以来、東京の専門官らが各国現地大使館員、JICA職員、専門家らのTFメンバーとセミナーを繰り広げています。2009年9月16日には科学技術協力をテーマとし、国外19か所がTDLCと接続されました。対象国は、カンボジア、モンゴル、ラオス、スリランカ、バングラデシュ、ベトナム、インド、インドネシア、タイ、チュニジア、ブルキナフアソ、ケニア、ウガンダ、南アフリカ共和国、アフガニスタン、パキスタン、エジプト、ウズベキスタン、セルビア。「科学秘術外交」、「地球規模課題対応国際科学技術協力について」、「科学技術研究院派遣」に関し、テンポの速い、活発な意見交換が行われました。
「世界十数か所をつないで議論をしていくことはこれまで不可能でしたが、技術革新によって可能に」
年内最後のセッションを前に12月1日、TDLCとのパートナーシップについて、FASID 国際開発研究センター所長代行・湊直信氏にお話しを伺いました。
「TDLCシステム(ビデオ会議)ができた時、各国のJICAと日本をコアとしたプログラムが何かできないかということで始まりました。最初は接続がうまくいかなかったり、画像はあるけど音が出ない、皆同時に話す、またタイムラグなどもありましたが、ルールもできてきて、皆慣れてきました。世界十数か所をつないで議論をしていくことはこれまで不可能でしたが、技術革新によって可能になった。このシステムを使って各国のODAタスクフォースをサポートすることで始まったのです。そのうち現場からのコメントや質問を通じて、問題や実際の状況などが浮かび上がってくる効果が見られました。これはピア・ラーニングです。互いに学びあうことができています。」
また、移動や宿泊などの諸経費を大幅に抑えながら、各国を同時に結ぶビデオ接続について「講師を現地に送る従来のセミナーに比べ、コストや効果面で比較すると大変効率の良い方法」とも。
「民間から借りることに比べ、随分安いです!」
と話す、同センター・中村有希主任。「参加国同士の質疑応答も可能になりました。同じような課題を抱える国など、他の国に直接質問することができる、グッドプラクテイスです」セミナーの効果や規模、これまでの広がりを踏まえ、遠隔ラーニング手法を利用してこそ、ODAタスクフォースセミナーの目的を達成し、波及効果を生み出すことができたと言えるのではないでしょうか。
「海外にいる人たちは日本に来なくても、頻繁な意見交換が可能。
セミナーやシンポジウムを、もっとできる可能性がある」――湊氏は、TDLCのビデオ会議システムは、今後更に活用できると言います。
「途上国にあれだけのネットワークを持つ世界銀行ならではのメリットがあります。技術インフラだけではありません。世銀が持っている知識と経験で、凄く良いことが沢山できると思う。まだまだ色々、ポテンシャルがある気がします」。
