2009年05月08日
新型インフルエンザについてASEAN+3、緊急会議
新型インフルエンザ危機について話し合うため、東南アジア諸国連合(ASEAN)+3(日韓中)13カ国の代表者が先週バンコクで緊急会議を開催、TDLCの技術サポートによりワシントン、ジュネーブ、アトランタとビデオ会議でリンクされ、二日間に渡り協議しました。初日の7日は各国代表者、8日はそれぞれの保険相が出席しています。

5月7日、バンコクで行われたASEAN+3緊急会合でスピーチを行う世界銀行・パルー保健衛生上級担当官
最先端技術を駆使し、アジア、北米、ヨーロッパをリアルタイムで繋いだこの会議では、米国疾病予防管理センター(CDC)、世界保健機関(WHO)、そして世界銀行の専門家らをスピーカーに、新型インフルエンザの世界的な大流行が懸念される中、情報の共有が行われました。
シューキャットCDC副所長代理は7日の会議で、米国でのインフルエンザ拡大状況について説明。評価(アセスメント)が重要な問題点だ、しかし当初メキシコから受けた報告に比べインフルエンザの深刻さは低い、と話しました。
新型インフルエンザの拡大は終盤に差しかかっているとするメディアが一部あるが、実際には最優先しなくてはならない、進行中の重要課題であると強調しました。
現在調査を急いでいるのは感染経路の調査だとし、空気感染はこれまでに見られていないが、新型インフルエンザについて必要なこと全てが判っているわけではないとシューキャット博士は指摘しています。活発な調査が展開中だと繰り返しました。
新型インフルエンザの特徴
「感染から死亡までの期間は、9日が平均です。が、まだ新型インフルエンザのあらゆる影響が確認されていないのかもしれません。ケース数は日々、増加中です。時間の経過と共にパーセンテージが上がるかもしれません。」連日、膨大な量のサンプルがCDCに届くと言う。
「新型インフルエンザは、60歳以下の若年層への感染が目立っています。年齢中央値は20代。性別は問わない様で、症状の範囲は軽度から死に至るまで。病状は発熱、咳、筋肉痛、下痢などです・・。」
WHO警戒レベル6への引き上げが意味すること
「現行の警戒度5が警戒レベル6へ引き上げられた場合、それがどのような意味を持つのかということについて、大いに混乱があるようです」。8日、ビデオカンファレンス経由でASEAN+3閣僚に発言したのは、WHO事務局長補フクダ氏。
「警戒レベル引き上げの理由となるのは、要するに地域的な拡大です。インフルエンザの症状がより深刻になるという意味ではありません。地理的に広がりを見せた場合ということですが、現在流動的な状況のため、各国は細心の注意を払わなくてはならない」。

5月7日、バンコクの会議場からワシントン、ジュネーブ、アトランタと結ばれたビデオ会議に出席し、新型インフルエンザについて話し合うASEAN+3代表者ら
豚肉は安全か?
フクダ博士は、豚肉の消費への不安についても言及。「豚の役割についても、混乱・誤解がありますが、適切な加工処理・調理をすれば、人間への感染はないと考えています」。
経済不安を世銀
世界銀行ワシントン本部から会議に参加した代表者は過去のSARS経験に触れ、パンデミックの拡大による経済影響に対する懸念を表しました。
人々が他人との接触を極力避ける様になった場合、既に世界不況のあおりを受けている観光産業やエンタテーンメントなどサービス産業が影響を受ける。これにより、各国政府の経済政策面における余力が乏しければ、現在の世界不況が更に長引くことになるかもしれない。世銀は関係各国を支援する用意があると語りました。
相互協力
世界は今、新たな脅威の出現に直面しています。
米国疾病予防管理センターのベッサー所長代理は8日、アトランタよりビデオ画面経由でASEAN+3保健相の面々に呼びかけました。
「米国は、あなた方や我々の他のグローバルパートナーに対して、新型インフルエンザの脅威を軽減させるための協力を惜しみません。信用、透明性、相互尊重をもって共に協力していかなくてはなりません」。
博士は既に研究目的のため、中国・日本・韓国とウイルスを共有していると話しました。
「計画性が重要です。私たちには、グローバルなインフルエンザ監視ネットワークがある。CDCは、ASEANを含む全ての国の、研究施設を持つ国立研究センターにAN1H1を送り始めました。」
そしてこの情報もまた、会議開催と同時進行で、ビデオリンクで繋がれた各サイトにて共有されました。
メキシコからのメッセージ
メキシコからの会議参加もありました。コルドバ保健相のビデオ録画メッセージが、8日の会議に届き、その映像が大画面に映し出されました。
大臣はメキシコで44人(現時点)もの命を奪っている新型インフルエンザについて、そのピークは4月23日から28日頃だったと説明。
専門家の分析によるとインフルエンザの感染は減少傾向にあるものの、監視システムは引き続き警戒態勢が必要だと話しました。「大事なのは、いたずらに人々の不安を募らせるような行動を取らないこと」。
「WHOは、国境閉鎖や渡航制限をしない様、繰り返し勧告しています。」
ビデオメッセージは、差別的措置が取られることのないよう、保健医療従事者が目を光らせることの重要性を強調。「このような措置は、ウイルス以上のダメージをもたらします。人権や、人間の尊厳に反しているのですから。」
