2009年08月11日
「セーフ・マザーフッドのための看護・助産リーダー育成」プログラム: その舞台裏

ウランバートルの病院の新生児。2008年3月28日撮影
このプログラムは、北里大学看護学部・吉野八重講師からTDLCに入った一件の問い合わせから始まりました。
母子保健を専門とする吉野さんは、継続的な看護教育の機会がモンゴルでは非常に少ないことを危惧し、ビデオ会議の利用について矢橋ゆかTDLCアシスタント・コーデネーターにご連絡いただきました。
「情熱の塊のような」吉野さんに突き動かされた矢橋は、母子保健に焦点を当てた企画書を作成し、世界銀行東アジア大洋州の若手職員向け基金「Youth Innovation Fund」にそっと応募。そして企画が選ばれ、プログラム実現のスタートを切りました。遠隔ラーニング、インストラクショナル・デザインをTDLCが担い、北里大学が豊富な経験に裏打ちされた最新の知識を提供することになりました。
講義には何百人ものモンゴル人看護師たちが参加。母子の健康を預かる医療従事者たちが、首都ウランバートルのみならず遠隔地で集まり、日本からの遠隔講義をリアルタイムで、貪欲に吸収しました。
モンゴルの看護師が海外の最新情報に触れる機会は通常、殆どありません。交通費や宿泊費など金銭的負担をかけることなく、日本の最新の知識を直接提供できたことは、看護の継続教育、関係者へのエンパワーメントに結びついたと、矢橋アシスタント・コーデネーターの話に熱が入ります。
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2009年3月26日、ウランバートルで第一回目遠隔ラーニングコース事前勉強会に参加するモンゴル人看護師たち
「1-2回の、数日間の学習講座に参加しただけで、たちまち健康に関する指標向上や、現場での技術向上などの効果を数値化、変化を明確に指摘することは不可能。 けれども、一歩づつ良い教育効果が現場にて見られる(専門知識が活用される)ことを期待します。」(矢橋)
コース参加者の声を一部、ご紹介します。
— 「母乳のあげ方の指導に役立った」
— 「妊婦の精神的、社会的、そして日々の生活の診断に役立った」
— 「先進国のプロフェッショナルから専門知識を直接学び、多くの看護士がぞれぞれの専門知識を高めることが出来た」
「妊産婦や乳児の死亡率がともに高いモンゴルで、母子保健をめぐる環境を改善するには、どのような援助が望ましいのでしょうか。病院をつくるもよし。機材を提供するもよし。でも、私たちがたどり着いた結論は「人」です。知識と経験を持つ日本の人々と、それを必要としている世界の人々を結び、世界銀行のビデオ会議ネットワークを導入することで人材育成の規模・効果をあげていくことができれば。遠隔学習は、情報へのアクセスを広げ、情報活用能力を育て、学習のきっかけをつくり、キャパシティ・ビルディングプロセスを見守ることにもあると感じます。」
モンゴルの母子保健分野における功績が認められ、2009年3月、TDLCはモンゴル看護協会により表彰されました。現在、第3回コースを今秋実施すべく計画中です。
「将来的にはモンゴルの人材が育って、本コースのリゾースを活用した、参加者による更なる遠隔ラーニング活動が(モンゴル国内ネットワークを利用して)広がることを期待しています。」
2008年のモンゴル・プログラム実施後の今年2月、今度はインドネシア・東ティモール向け防災看護コースを開催し、700人以上もの看護師たちが2日間の遠隔学習に参加しました。
「今後も途上国の現地ニーズに応じた分野で遠隔看護教育プログラムを続けていきたい」とアシスタントコーデネーターは意欲満々です。
