middle left top

公共交通指向型開発(Transit-Oriented Development)セミナー報告

2015年06月30日







世界銀行グループと国土交通省は、公共交通指向型開発(Transit-Oriented Development:TOD)セミナーを2015年6月30日に東京開発ラーニングセンター(TDLC)で開催しました。

公共交通指向型開発(Transit-Oriented Development: TOD)は、駅前や沿線にに集約的かつ多機能な歩きやすい空間を造る都市開発手法であり、経済成長、環境保全、社会的平等を促進することにより、持続可能な都市の開発に大きく貢献します。近年、急速かつ大規模な都市化とともにモータリゼーションが進み、交通渋滞や空気汚染が問題になってきている途上国の都市では、TODの活用が特に期待されています。

本セミナーでは、日本(東京首都圏)、そして世界銀行が支援を実施しているホーチミン市とナヤ・ライプール市からTODと土地開発利益還元(Land Value Capture: LVC)の取り組み事例が紹介されました。

「TODという概念は、アメリカで初めて唱えられましたが、実は、日本では20世紀の初めから既に実施されています。」と森 毅彦 国土交通省大臣官房参事官は、日本のTODに関する豊富な経験から得られた知見が世界の都市化に関連した問題の解決に貢献できる可能性を示唆しました。

村上 威夫 国土交通省総合政策局国際政策課総括国際交渉官は、日本におけるTODとLVCの成功事例を発表しました。区画法や区画調整などの法律・制度、独立行政法人都市再生機構(UR)などの専門機関の設置、官民連携、公共交通機関を如何に利用者にとって魅力的にするかを考慮する事が成功の背景にある事を伝えました。

ベトナムのホーチンミン市からは、都市部の人口過密や、郊外と都市中心部を結ぶ交通設備やインフラの不備などの課題をTODを活用して解決していく意向が報告され、インドからはナヤ・ライプール市の公共交通を中心とした都市開発計画が紹介されました。

TODとLVCに関する知見と事例をまとめた世界銀行出版の報告書 の著者である鈴木 博明 元世界銀行主席都市専門官、現世銀コンサルタント、東京大学大学院、法政大学大学院、政策研究大学院大学非常勤講師は、TODとLVCは都市の発展段階と開発空間の特性(郊外か開発の進んだ都心地区等)に応じて適用されてきていると説明しました。

公共交通指向型開発を実施する中での課題、たとえば公共交通指向型開発を実現するための規制の枠組みの構築やすでに開発された都市の地域に公共交通指向型開発を適応する難しさなども議論されました。
世界銀行は、日本のTODにおける豊富な経験が途上国のTODのプロジェクト実施の際に役に立つことができるのではないかと期待しています。

本セミナーは、TODに関する連続セミナーシリーズの第一回目であり、世界銀行はこのようなセミナーを今後も国土交通省、民間企業、学界と協力しながら実施していくと共に、TODの専門家や実務家が知識と経験を共有し、世界の都市でTODを実現していくための情報意見交換の場であるコミュニティ・オブ・プラクティス(CoP)のプラットフォームを立ち上げる予定です。

資料

このニュースは 「公共交通指向型開発(Transit-Oriented Development)」についての記事です。

middle left top