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文化遺産の防災と観光に関する実務者研修会合報告

2017年4月10日―14日、東京、京都

2017年04月21日
RCH Group

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)と東京防災(DRM)ハブはこのたび、自然災害や人的災害から文化遺産を保全し、観光の促進を目指す分野別実務者研修会合を開催しました。第8回目の本実務者研修会合では、文化遺産保全及び防災関連の世界銀行融資案件を持つアルバニア、ブータン、中国、ミャンマー、ネパール、フィリピン、サウジアラビア、タンザニア、ウズベキスタンの9か国から約45名が参加し、東京及び京都でのプレゼンテーション、視察、議論を通じ、知見の共有を深めました。本会合の開催にあたっては、京都市、国際連合教育科学文化機関(UNESCO:ユネスコ)、立命館大学、国連世界観光機関(UNWTO)、文化庁からの協力を得ました。

サメ・ナグイブ・ワフバ世界銀行社会・都市・農村・強靭性グローバルプラクティスディレクターは、「日本は文化財保護の議論、知見共有に最適な国だ。」と述べ、日本の知見を途上国のプロジェクトレベルの支援に活かす重要性について言及しました。また、文化財保護と持続可能な開発に向けたユネスコとの連携を紹介しました。

各国が抱える災害は様々で、フィリピンやミャンマーでは洪水や地震、中国では急速な都市化によって起こる災害、タンザニアでは人的災害などが挙げられます。同時に、災害対策、担当機関の連携や役割分担の過不足、資金不足、住民の理解不足、維持管理など、共通課題についても話し合われました。日本は地震、台風および洪水など多くの自然災害に直面して来たため、本実務者会合参加国が抱える災害課題に対する多くの知見を保有しています。

Kiyomizu
Kyoto mis

例えば、参加者は、その長い歴史の中で多くの火事を経験している清水寺の視察を通じ、防犯センサーやカメラ、消火栓が各所に設置されている現在でさえ、「人」の力が寺の維持や災害管理には必要不可欠であること、清水寺周辺の住民は歴史的に災害リスクについて十分理解し、災害管理や災害に強い文化の発展に大きく関わってきたことを学びました。

ジョバニ・ボカルディユネスコ文化セクター遺産担当局緊急災害対策ユニット長は、基調講演で災害対策に関する政策不足を指摘し、文化遺産保全と防災の一元化の重要性を強調、「課題は現場とシステムのリスク管理を一本化させることだ。つまり災害リスク管理を個々に計画するのではなく、災害リスク管理と文化遺産管理を関連づけることだ。」と述べました。

セッションでは、観光業と文化遺産のつながりの強さから、持続可能な観光業についても議論されました。観光業は、社会経済産業の中で最も最長の早い産業ですが、歴史遺産に損傷を与えるなど、悪影響をもたらす可能性もあります。ラザーレ・エロウンド・アッソーモユネスコ文化セクター、世界遺産センター遺産担当副局長は、「文化遺産と観光業に災害対策を取り入れ、また災害リスク管理計画に文化遺産と観光業を主要要素として取り入れなければならない。」と述べ、啓蒙活動や研修、文化財管理計画の中に予防や軽減対策を盛り込むなど、議論が積極的に交わされました。

参加者は、本研修会合の最終日に活動計画をとりまとめ、発表しました。活動計画には啓蒙活動、規制枠組み、政策の見直し、中央・地方政府の連携などがまとめられました。また、数か国から保護計画や都市遺産に災害リスク管理を盛り込む際の専門家の助言などが求められました。


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