2009年02月10日
「災害看護」とは?
「全てを失いました。生きる気力がありませんでした。」
きっかけは、ある新聞記事でした。インドネシアの一人の災害被害者の声が紹介され、途上国の被災地では、住宅や道路などの破壊だけでなく、心のケアが追いつかず、被災者の自殺が目立ち始めたとされていました。
地震をはじめ自然災害が多く、豊富な防災対策知識や経験を持つ日本から、独自の被災地支援ができないだろうか ―― 。GDLNアジア大洋州のプログラム開発においてリーダーシップをとる東京開発ラーニングセンターはちょうどこの時期、GDLNインドネシアと共同で現地の看護師向けコースを企画中でした。
調査を進めると、災害に弱いインドネシアにとって災害看護学は非常に需要の高いテーマであることがわかりました。そしてコーデネーションが進められ、2月17日・18日の両日、インドネシアと東チモールを対象に、遠隔教育プログラム「災害看護コース」が実施される運びとなりました。
プログラムは日本の専門家の協力を得て、日本看護協会 災害看護研修シラバス(基礎編)をもとにインドネシア向け災害看護コースとして開発。世界銀行のグローバルネットワークであるGDLNと、インドネシア国内の高等教育機関ネットワーク・INHERENTを組み合わせ、WHO神戸センターとTDLCを接続し、ビデオ会議を通じてインドネシア、東チモール各会場の600人を超える参加者に専門家の講義を届け、現地からの報告や発表を共有します。
コースに対するインドネシア側の反響は小さくありません。
「2005年におきたスマトラ島沖地震で町が崩壊しパニック状態に陥ったことを、今でもはっきり思い出します」と話す、インドネシア国家教育省・ニザム氏。「日本赤十字など日本からの国際緊急援助隊医療チームが現地の医療関係者と協力して災害救援支援活動を行ってくれたことには感謝の気持ちでいっぱいです。GDLNとINHERENTを利用した災害看護コースはかならずやインドネシア社会の為に役立つと思います。」
インドネシア看護協会のヤニ代表は、「常に最前線で働く看護婦は、災害時には平時と異なる病気や怪我の発生に対応しなければなりません。看護婦自身や職場の被災、物的、人的資源が限られた状況で、医療・看護活動にあたる必要が出てきます。看護婦の初動応答が被災者の生死の危機にかかわることもあり、災害看護の基礎知識を備えることで災害に強い社会をつくるうえで大きく役立ちます。」
このコースは「災害医療概論」「災害看護の実際」のほか、 「災害時における精神保健活動」 をテーマとして取り上げている点でも高い評価を得ています。「被災者や災害救援者への心のケアは大きな課題で、このような学習の機会に大きく期待しています」(ヤニ代表)。災害時に必要な看護技術をはじめ、被災者への心理的援助、救援者自身の心のケアなど、日本が震災下で経験した災害看護の知識がGDLNにより広く共有され、救命に貢献できると期待を集めています。
今回のプログラム開発を機に、インドネシアでは災害看護以外にもメンタルヘルス(うつ病や薬物依存など)、家族看護、地球温暖化と感染症・感染看護管理知識への関心も高いことが判明。また、東チモールでもHIV看護ケアなどに対する知識が求められています。TDLCは今後も、 現地のニーズに応じた 遠隔看護教育プログラムを続けていきたいと考えています。
当プログラムについては こちらもご覧ください。
